ここ最近読んだ本で特におもしろかったのが「
木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」というノンフィクションです。
本編の主人公である木村政彦は戦前柔道で最強の名を欲しいままにし、 今なお「史上最強の柔道家は木村である」と言う声も少なくありません。また我々世代の男子が熱狂した総合格闘技、その中心にいた最強のグレイシー一族を初めて破った日本人でもあります。
そしてプロレスラーに転向し力道山との疑惑の一戦。この一戦が木村先生の人生を大きく変えていくのですが、それは本を読んでからのお楽しみ。昭和プロレスファンなら確実に楽しめる本だと思います。
それはさておき、この本に書かれている木村先生の柔道に対するストイックさは狂気に近いものがあります。
「試合への負けは死を意味する」という言葉の通り、試合に負けた時には切腹をする覚悟で望んでいて、絶対に負けないために寝る間も惜しんで稽古に励んだといいます。
通常柔道の練習は3時間程行うそうなのですが、木村先生はその三倍にあたる9時間、加えて腕立てや打ち込みなど血を吐く勢いで休み無くおこなったそうです。
なぜ三倍かというと、人の二倍程度の努力をする人は中にはいるし、その程度の努力ではもしかしたら負けるかもという不安が残る。しかし三倍努力すれば心に「これだけやったのだから負けないだろう」という安心感が生まれる。これが木村政彦の「三倍努力」です。
今自分の立場を考えると、会社を支えないといけないし、会社が発展し、社会の役に立てるようになるにはやはり二倍の努力じゃ足りない。でも実際は人の二倍も努力しているとは思えない。まだまだやらねばならぬ事があり余る。
木村先生のように時間を軸に努力量を考えるなら通常一日8時間労働としてその三倍は24時間。つまり一睡する暇もなく働かないかんというわけです。
そんなの現実的に無理だし、「努力は時間じゃない。内容だ」と言われればその通り。効率は一番に考えるべきなんだけど、そういうのを理解したうえで体力、精神の限界に挑むのも悪くないかなと思います。時代に合ってないと思いますが自分は“知恵が無い分は根性でカバーする”という考えがやはりどこかにあるのです。
知恵だけで善い結果は生まれない。心と身体を精一杯使って初めて知恵が役に立つ。これら三位が一体となってはじめて善い結果が生まれるものだと思います。
もうすぐ9月も終わりですが、「死ぬ気で生きることができるのは今だけ!」の気持ちで来月からまた心機一転、三倍努力で精一杯働きます。