2015/08/11

クルマ・バイクの最適保管マニュアル

フェラーリを室内用ボディカバーで保管
ガレージ保管でもサビや劣化対策は必要になってきます





クルマやバイクは保管環境によってその劣化の進行の速度が大きく異なっていきます。当然何も対策をせずに野外に置きっぱなし、ではサビ、腐食はあっというまに進んでいきます。

同時にボディカバーやガレージを利用するにあたってもしっかりと「どんな劣化原因を防止したいのか」を理解することがとても重要です。ここでは一般的な保管対策である「ボディカバー」「カーポート」「ガレージ」「簡易ガレージ」についてその効果を解説していきます。




ボディカバー

もっとも手軽で一般的な車体保管アイテムのボディカバーですが価格によってその仕様や効果は大きく異なります。

価格は2~3,000円のものから10万円を超えるものまで様々です。ボディカバーを検討する上で重要なのは以下のとおりです。


① 強度と重さのバランス

安いボディカバーですと1年持たずにボロボロという例が多くみられます。これは熱線、紫外線そして酸性雨が主な原因と言われています。

使用する素材にもよりますが、基本的にこれら紫外線等に強いカバーは生地が厚くなり、重くなり、価格も上がります。私たちが販売する屋外用のアウトドアカークーンも、生地の耐久性を考えカバーが2重になっており非常に頑丈であると同時に重さもかなりあるので事前にお客様にはその旨をお伝えしています。

全てのボディカバーは屋外の過酷な環境下で少しずつ劣化していきますが、どの程度のサイクルで買い替えるかはそれ以外のメリットを含めて予め考えておいた方が良いでしょう。

② 丈は長くとる

一部を覆うハーフカバーのようなタイプは着脱しやすいこともありますが車体保管の面から考えるとやはりフルカバーにしたいところです。

ボディカバーのメリットは前述の紫外線や酸性雨の防止をはじめほこりや水分の吸着、鳥の糞やセキュリティーに至まで多岐にわたりますがハーフサイズでは全てが中途半端になってしまう上にカバーで覆われている部分といない部分の劣化の差によるムラができてしまいます。

またボディカバーには湿気防止という点でも効果的ですが、丈が短いとその分湿気が入りこむスペースができてしまいます。シャーシ裏の水分吸着はあきらめるにしてもタイヤのホイール部分がしっかりと隠れる丈のボディカバーが最善と言えるでしょう。


③ 隙間を作らず通気性はよく


ほこりや空気中の様々な不純物、さらに湿気に至るまで車体を劣化させる原因はあらゆる隙間に入り込んでいきます。

メーカー純正やオーダーメイドのボディカバーはその車種に合わせてフィットするよう立体的に作ってあるので高価ですが車体とカバー隙間はごくわずかになります。「そこまで高価なカバーはちょっと…」という方は既製品でもゴム素材で隙間を埋めるようなカバーがおすすめです。

それと同時に中の湿気や不純な空気が滞留するとそれもまたサビや車体劣化の原因になります。耐火仕様のしっかりしたボディカバーでも通気性が悪くサビの進行が早まるという例もありますので通気性についても事前にメーカーや販売店に確認することをおすすめします。

ちなみにここまで来て言葉を返すようですが、カークーンは車体とカバーの隙間が最も空いているボディカバーであると自負しています…

そもそも本製品は車体をカバーの中にすっぽりと入れて密封構造を作るという発送なので車体のフォルムに合わせて隙間を埋める必要がありません。また通気性に関しては電気を使ってファンを回し強制的に換気をフィルターを通してきれいな空気でおこないますので非常に効果的です。


④ 手間がかかる作業であることを忘れない


ボディカバーの一番のデメリットはやはり手間がかかることです。たまに乗る車やバイクならよいのですが毎日乗る車となるとやはり大変。雨が降っている中濡れた車体にカバーをかけると逆に湿気が中に滞留してサビを進行させる原因にもなりかねません。

ボディカバーには予算や用途に応じて幅広い選択肢を与えてくれるものですがその中で車体を守るにはそれなりの苦労があることを肝に銘じておいてください。


カーポート


手間を一切かけずに車体劣化を防止

カーポートのメリットは一にも二にもその手軽さです。ガレージのようにシャッターを空ける必要すらありません。メリットは雨や紫外線といった車体劣化の主要リスクを緩和してくれます。また鳥の糞による洗車の手間も省けます。


またカーポートはボディカバーよりはるかに耐用年数が高いので一度立ててしまえば意識しなくても車体の劣化防止に役立ちます。



あくまで野ざらしなので効果は限定的


カーポートは車体の上空は屋根で防げてもそれ以外は野ざらしと変わりがありませんのでほこりや塩害の予防は期待できません。また湿気によるサビの発生は気温の急激な変化に影響しますのでカーポートに湿気対策の効果はありません。「ガレージは建てられないけど、毎日乗る車なのでボディカバーの脱着は大変」という方にはその手軽さは大きな魅力です。



ガレージ

ボディカバーには無い手軽さとカーポートに無い車体劣化防止の環境。やはり個々の事情はあれどガレージ保管は非常にメリットが大きいです。ただし「ガレージの中に入れておけば安心」ということはありません。究極の保管環境を実現するためにはまだまだ対策すべきことはあります。



① ガレージ内でもカバーをかける

ガレージに入れてあってもほこりは無くなりません。むしろ周囲がしっかりとコンクリート舗装されていない場所であれば野ざらし以上にほこりに悩まされる場合もあります。ほこり以外にも例えば海の近くであれば塩害、温泉地では硫黄と野ざらしに比べればかなり緩和されますがその影響を完全に抑えることは困難をきわめます。

なので究極的に車体劣化を抑えたいのであればガレージの中でもボディカバーは必須です。
ただし紫外線や酸性雨の心配はありませんので通常のボディカバーと異なり耐久性にあまりとらわれず軽くて扱いやすいもの、そしてここでもフィットするカバーをおすすめします。ちなみにフェラーリ純正のカバーで真っ赤なものが売られていますが、あのカバーはガレージ保管を前提としているため紫外線対策に使われるシルバーの生地である必要がないのです。


② 湿気対策は換気から


ガレージを保管場所にする大きなメリットのひとつが「気候変動の振れ幅を抑える」ことです。
サビの原因である水分の付着は結露によるものが多く、その結露は車体の温度と外気の温度の差が関係してきます。また冬場におこるタイヤのひび割れなど急な温度変化は車体を構成する物質に大きな負担を与えます。これらの問題からガレージを導入することは意義のあることだと思います。ただしここでも"完全に”は防止できませんし、気候変動において重要な湿気に関してはまだまだ対策を講じる必要があります。

湿気は外装だけでなく革製シートのカビやパネルのベタつきを引き起こします。余談ですがこの樹脂パネルのベタつきはパネルをコーティングしている樹脂が加水分解によって引き起こされるもので、フェラーリやアルファロメオなどイタリア車に特に多く見られるのですが、それもそのはず。日本とイタリアでは湿度が異なるため、本国イタリアではそのようなベタつき問題が起こらなくても日本ではなる、ということが起こっています。もちろんこれは傾向の話ですので英国車でもドイツ車でも日本車でもなる可能性はあります。

湿気の対策に関しては投資対効果の観点からまず換気扇やサーキュレーターの設置をおすすめします。換気扇の効果は最初にお話した、「空気を動かし気候変動を緩和することで結露の発生を抑える」ということです。ガレージ内の湿気で悩まれてる方でもサーキュレーターを設置しただけで驚くほど効果があったという声をよく聞きます。

一方で周辺の湿度が広範囲に渡って高い場合は換気扇の効果は弱まります。ここで初めてエアコンや除湿器を導入しましょう。


その際に注意して頂きたいのがエアコンや除湿器を導入した際にもサーキュレーターは使い続けることです。

エアコンや除湿器は「空気中の水分を除去する」ことで乾燥状態を創出します。これは空気を循環させて気候変動を緩和する換気扇やサーキュレーターと全く異なる部分です。

つまりエアコン、除湿器と換気扇、サーキュレーターでは同じ湿気対策でもアプローチの仕方が全く異なるわけで、同時に使えばより効果的な湿気対策が可能になるわけです。

この点においてカークーンは前者の「気候変動の緩和」をボディカバー内の狭い空間で行うことで非常に高い換気効率を実現しています。そしてジェットエンジンやガスタービンなど湿気を嫌う繊細な工業製品においてカークーンと除湿器を併用して保管をする企業が多く存在します。



③ 基礎工事をしっかりチェック


湿気や地熱など車体保管に大きな影響を及ぼすものは下からもやってきます。コンクリートを敷くのはもちろんのこと基礎工事をしっかり行い地表からの影響を遮断するように努めてください。


簡易式ガレージ


現在簡易ガレージが人気ですが、少し注意が必要です。ガレージより安価である一方でそのデメリットを見落としがちだからです。


生地の耐久性

まず耐久性です。簡易ガレージの多くは軽くて丈夫はテント生地を使っているケースが多いのですがガレージほどの強度や耐久性は期待できません。しっかりと現物を見て耐久性を推し量り導入するのが賢明です。


骨組の耐久性

耐久性に関連して簡易ガレージの骨をよく見てください。安価な簡易ガレージですとこの骨組の部分が弱く強風で破損してしまう恐れがります。壊れるだけならまだしも大事な車体を傷つけてしまったりしたら本末転倒。「雪や台風でも問題なく使えるか」といった確認を必ず取りましょう。


基礎の対策


また先ほどもお話した基礎工事についてですが、こちらも地面の上に簡易ガレージを設置したりすると逆に内部に湿気やほこりがこもって車体の劣化を進行させてしまうおそれがあります。できればしっかりとコンクリートの上に設置。できなければ空気の逃げ道を確保しつつ、雨の日は思い切って空けてしまうといった対応もいいかと思います。


入出庫のしやすさを確認


簡易ガレージ導入のメリットに「ボディカバーをつける手間が省ける」、というものがありますがこちらも一回入出庫を具体的にイメージして自分の使用頻度に合致しているか確認してください。

あくまで私見ですがアコーディオン式の簡易ガレージは少し重い蛇腹を引く作業があり入出庫に時間がかかりました。



以上、いかがでしたでしょうか。場所が違えば車の保管方法や対策も変わってきます。これらを参考に自分に合った最適な保管環境をトライアンドエラーを恐れず作ってみてください。


また当社では保管に関するアドバイスも無料で行っておりますのでお気軽にご連絡ください。


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