2013/05/25

“さようなら” にはまだ早い。


「これはきっと世の中の為になるのに」と信ずる製品が、世に知られぬままに消えていくのは寂しい。その認められずに消えていった製品をつくるためにたくさんの時間や労力、そして美しい情熱を注いできた人々のことを考えればなおさら胸が痛む。


一方で私たちは毎日消費活動をおこなう。本来消費は私たちの生活を豊かにするための手段であるはずなのに、時々その目まぐるしさ故に逆に私たちを消費してしまってるような気分さえする。


しかし「豊かさ」とは何と曖昧で実体の掴めない言葉なんだろう。一人一人豊かさの意味は異なる。お金に苦労しない豊かさもあるし、家族が無事に健康でいられる豊かさもある。ではその中でモノを売る私は世の中の為にどんな豊かさを与えられるのだろう。


きっと豊かさとはモノという形ではなく人の心の中にあって、「豊か」と決定する心をつくるのはその人の人生であり歴史なのだ、と私は信じている。


なので人々の忙しい生活の中でふと立ち止まり、自らの歴史を顧みるうえで何かに役に立つもの、また長年の友人のようにその人の歴史の一部になり得るようなものを世の中に届けたい。同時に誰かの歴史に彩りを与える人々に対して素直に尊敬の心を持ちたい。そうやっていけば自分の力で世の中を少しばかり豊かにできるんじゃないだろうか。



以上が私の仕事に対する理念です。



株式会社クフウ
中西 之文